Foreign Photo
|異|国|の|風|景|写|真|
この街を訪れていた頃から随分と時が経過しました。
ミネラルウォーターを片手に方々廻りました。もうそんな記憶も薄らいできました。
幾つもの通りが一点に集中する複雑な交差点からは、かん高いクラクションが頻繁に発せられます。
街には大きな公園が数多く、喧噪から逃れられます。
噴水周りのベンチでひとり、足を休めながらの昼食という事もありました。
経緯度の違いからなのか、夜の訪れが若干遅い様な気がします。
夕食のあと、今夜もまたホテルに近いバーに立ち寄ってしまいました。カウンター越しになじみのボトルを見つけて注文。何も話す事は出来ないけど、時折
カウンターの中から、にこやかな表情で短い言葉とゼスチュアが向けらます。同じようにそれに応える。こんなやりとりでも妙に楽しめてしまうから不思議です。
もう一杯とゼスチュアを・・・。
少し遅い朝、終着駅のプラットホームを抜けて明るい広場に出ました。
初めて目にしたその光景は今までに目にした事のない世界。夕べ飲み過ぎて憂鬱だった早起きの疲れが一気に回復してゆくのが判ります。
ヴァポレットという乗り合いの船で大運河を航行。視界に広がる水上都市ベネツィア。すれちがうゴンドラからカンツォーネの歌声が聴こえてきます。潮の香が心地いい異国の地での至福の瞬間。
賑わう大運河とは対照的にひっそりと静まりかえった路地を歩いてみる。
細く複雑な道はまるで迷路のようで、行き先を見失ってしまいます。
古い建物のほとんどの窓辺には小さな鉢植えの花が飾られています。色あせた周囲に、ひときわ鮮やかさを放っているようです。
ふと、タイムスリップに陥ったかのような錯覚に見舞われます。
イタリアン・モードの発信地として知られるこの国随一の商業都市ミラノ。
近代的なビルが建ち並ぶ中に、ひときわ壮麗にたたずむドォウモは街のシンボル。複雑に交差する石畳の道を彷徨い歩いているだけで絵画のような光景に出会えます。
歩き疲れ、カフェテラスで一息・・・。
エスプレッソのにがさが心地いいひととき。
ルネッサンス発祥のこの街は、花の都と呼ばれています。
アルノ川に架かるポンテ・ベッキオ橋を渡り街の中心地から離れて歩きます。
丘の上から先程までいた街並を遠く見渡してみます。おそらく、はるか昔から大きくは姿を変えていないであろう煉瓦色の街を見ていると、変わらない事の尊さの様なものを感じずにはいられません。