Special Version
旅のひとこま 3 > Episode 102 寝台特急「あかつき」京都ー長崎 乗車記

Episode 102 寝台特急「あかつき」京都ー長崎 乗車記

 2月も終わりを迎える頃、仕事の合間の数日間を実家で過ごす事ができました。今回移動に利用したのは、20数年振りの乗車となる寝台特急「あかつき」です。
他の地域で起こった事故の影響により発車が4時間ほど遅れるトラブルに見舞われましたが、気楽な旅には特に問題ありません。いろんな事を考えられるのはこの列車だからこそです。
「みづほ」「さくら」とこの路線から姿を消してしまった寝台特急ですが、唯一長崎へ向かう列車として残っている「あかつき」です。

今回はこの列車での旅を特別編として編集してみました。


2006年 2月22日。
雨の降る京都駅7番ホームに定刻より3時間以上遅れて入線してきた寝台特急「なは/あかつき」です。「みづほ」、「さくら」、「つるぎ」とブルートレインには仕事や帰省で乗車しましたが、「あかつき」には、おそらく20数年前に利用して以来の乗車となります。
当時は、「あかつき」単独での運転で、長崎行きと佐世保行きを連結していました。
ブルートレインには何故だか雨がよく似合っているような気がします。


 今回乗車したのは、新台車両ではなく、下り編成最後尾に連結されたレガートシート車。(※別の日に撮影した画像です。)
車窓に過ぎ去る風景を眺めながらの列車旅を選びました。
通常のブルートレイン車両とは異なるブルー×アイボリーのツートーン+ピンクのリボンでラッピングされたデザインの車両です。


 ピンク系のシートは、2+1というのか、3列というのか、変則的なレイアウトです。観葉植物のあるスペースから向こう側は女性専用シートで、今回の下り列車の場合は最後方にある化粧室も女性専用でした。
男性客がトイレや洗面台を利用するためには別の車両へ移動しなければならないという特殊な車両です。
日付が変わった0時、「ガタン」という音と揺れを伴っての発車しました。照明を落とした客室内は「夜汽車」気分満点の空間です。
平日という事で、少ない乗客数は予想されましたが、大幅な遅れのせいか、この車両の乗客は10名にも満たない状況でした。


 10両の客車を連結した列車は山陽本線を西へと向かいます。岡山駅付近までは何となく覚えていましたが、その後は眠ってしまったようです。
目が覚めると新山口に近い場所を走行していました。朝もやがかかっていますが青空が広がってます。
この列車内からうたた寝しながらぼんやり眺める朝の雰囲気は、夜行列車ならではで、大好きなひとときです。


 たびたび訪れていたミニロビーから見える9号車の最後尾には、「あかつき」のトレインマーク。
山陽新幹線の開業状況により編成や行き先、営業本数は変更されてきました。佐世保にも乗り入れてた時代もありました。
最盛期には1日に複数本のあかつきが走っていました。


 佐賀県に入り、停車した「鳥栖駅」は、鹿児島本線と長崎本線の分岐点。この駅で熊本へ向かう「なは」が切り離され先に出発しました。ここからは「あかつき」単独で終着駅「長崎」を目指します。
車掌さんにお弁当を買えるのは「鳥栖駅」のみと聞かされていました。待ちに待った「鳥栖駅」です。


 出発以来何も口にしていませんでしたが、ようやく食べ物にありつけました。既に正午に近い時間です。撮影前に少し食べてしまいましたが、「焼売弁当」とても美味しかったです!
以前ブルートレインに乗っていた頃は、食堂車が連結されてましたが、今はもうありません。
何だか良い時代が去って行ってしまい寂しくなりますね。
 追記ですが、「鳥栖駅」の「焼売弁当」は正式には「焼(シャオ)麦(マイ)弁当」というようです。頂いたのは「中央軒」の「焼麦弁当」で、駅弁業界では、東の「崎陽軒」、西の「中央軒」と呼ばれているとか。


 懐かしいB寝台車室です。
10号車からこの5号車までの移動は、揺れる中結構大変でした。
東海道本線事故の影響で出発が大幅に遅れ、キャンセルにより発車時から乗客は少なかったのですが、広島以降くらいからだったでしょうか?主要駅に到着するタイミングで、新幹線への乗り換えを進めるアナウンスが頻繁に放送されていました。
更に乗り換えで列車を降りた人も多いんでしょうか?どの車両もひっそりしています。


 折角の機会なので、車内の案内です。
6号車はA個室となっています。フロアにはカーペットが敷かれており、ちょっと高級な感じが漂っていますね。


 写真がイマイチで何だかよく判りませんが、レガートシート車にあるミニロビーです。本当は客室と同様の明るい色調のソファーとカーペットのスペースなんですが、撮影失敗です。
飲料の自販機と、開放的なゆったりソファーがあるので、頻繁にこの場所で過ごしました。


 この日は何度となく停車する小さな駅で後発の特急列車に先を譲りました。
こちらも特急なのに「あかつき」だけが犠牲となっているようですが、これは仕方のない事ですね。
運転本数が極端に少ない区間ですが、博多ー長崎間の特急だけは比較的多く走っています。単線区間で、この列車だけでダイヤを乱しているので、もの凄い迷惑な事態ですね。


 長崎が近くなって来ました。
車窓左側に広がるのは有明海です。空も海も青い!この辺りの長崎本線は、海岸線に沿ってカーブが連続する単線区間です。
スピードが出せないので時間のロスにはなりますが、景色は最高です。
6両編成で走る「あかつき」です。


 約5時間遅れで終着長崎駅に到着した「あかつき」。
京都ー長崎間836.9キロを走破。
すぐに精算窓口へ直行して特急料金の払い戻しをしてもらいましたが、この事は列車内では一切放送していませんでした。払い戻しができる事を知らない人が多いようで改札を通り過ぎてました。
意外に乗客が多かったようで、「何処にいたんだろう?」と半分驚きながらの改札通過でした。

 帰路は同じ「あかつき」のB寝台個室「ソロ」にしようと思っていましたが、仕事の都合で結局いつもの新幹線となりました。「ブルートレイン」に比べると味気なく、単なる移動手段といった感じは否めません。
「サンライズ」、「カシオペア」等の新しい寝台列車が注目されていますが、ノスタルジックな魅力を継承した「ブルートレイン」の存続を期待したいところです。
とはいえ、需要がなければ当然消滅し、淘汰されるのも仕方のない事かも知れません。

2006年2月22日〜23日撮影
2021年10月1日加筆